会社設立の定款とは?記載事項・作成手順・認証方法をわかりやすく解説
会社設立を考える際、必ず作成しなければならないのが「定款」です。定款は会社の基本的なルールを定めた重要書類であり、会社設立の第一歩となります。「定款って何を書けばいいの?」「認証手続きはどうすればいい?」「電子定款と紙定款、どちらがお得?」そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、定款の基礎知識から記載事項、作成手順、認証方法まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。株式会社と合同会社の違いや、電子定款で4万円を節約する方法、専門家に依頼するメリットまで網羅的にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
定款とは?会社設立における役割と重要性
会社設立において、定款は避けて通れない重要な書類です。まずは定款の基本的な意味と役割について理解しておきましょう。
定款は「会社の憲法」
定款とは、会社の目的や組織、運営に関する基本的なルールを定めた書類のことです。「会社の憲法」とも呼ばれ、会社運営の根幹となる重要な文書です。
定款には、会社名(商号)、事業内容、本店所在地、資本金の額、株式に関する事項など、会社の基本情報が記載されます。会社はこの定款に定められたルールに従って運営されるため、設立時に慎重に作成する必要があります。
なぜ会社設立に定款が必要なのか
定款の作成は、会社法によって義務付けられています。株式会社の場合、定款を作成して公証人の認証を受けなければ、法務局での設立登記ができません。つまり、定款がなければ会社として法的に認められないということです。
定款を作成することで、以下のようなメリットがあります。
- 会社の基本ルールが明確になり、経営の方針が定まる
- 株主や役員の権利義務が明確になり、トラブルを防止できる
- 取引先や金融機関への信用度が高まる
- 将来の事業拡大や組織変更の指針となる
定款の法的な位置づけと保管義務
定款は会社法に基づく法定書類であり、会社設立後も本店に備え置く義務があります。株主や債権者から閲覧・謄写の請求があった場合には、応じる必要があります。
また、定款は銀行口座の開設、許認可の申請、融資の審査など、さまざまな場面で提出を求められます。原本は紛失しないよう大切に保管し、必要に応じて「原本証明」を付けたコピーを提出することになります。
定款の提出が必要なタイミング
会社設立後、定款の提出が必要となる主な場面は以下のとおりです。
- 法人口座の開設時: 銀行や信用金庫で法人口座を開設する際
- 許認可申請時: 建設業許可、飲食店営業許可などの申請時
- 融資申請時: 日本政策金融公庫や銀行からの融資を受ける際
- 補助金・助成金申請時: 創業補助金などの申請書類として
- 取引先との契約時: 大手企業との取引開始時に求められることも
定款に記載する内容|3つの記載事項
定款に記載する事項は、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つに分類されます。それぞれの内容と注意点を詳しく見ていきましょう。

絶対的記載事項とは?記載必須の5項目
「絶対的記載事項」とは、定款に必ず記載しなければならない事項のことです。これらが欠けていると定款自体が無効となるため、漏れなく記載する必要があります。株式会社の絶対的記載事項は以下の5項目です。
事業の目的
会社がどのような事業を行うかを記載します。「目的」は登記事項でもあり、定款変更や登記変更をしないと新たな事業を行えない場合もあります。将来の事業展開も考慮して、幅広く記載しておくことがポイントです。
例えば、「経営コンサルティング業」「ウェブサイトの企画・制作」「前各号に附帯関連する一切の事業」などのように記載します。
商号(会社名)
会社の名前を記載します。株式会社の場合は「株式会社○○」または「○○株式会社」のように、商号の前か後ろに「株式会社」を入れる必要があります。
なお、同一住所に同じ商号の会社は登記できないため、本店所在地を決める際には類似商号の調査が必要です。
本店所在地
会社の本店所在地を記載します。定款には最小行政区画(東京都23区の場合は区まで、それ以外は市町村まで)を記載することが一般的です。具体的な番地まで記載することも可能ですが、移転の際に定款変更が必要になる点に注意が必要です。
設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
資本金の額を記載します。「設立に際して出資される財産の価額は、金○○万円とする」のように記載するのが一般的です。会社法上、資本金の最低額に制限はなく、1円でも設立は可能です。
発起人の氏名・名称および住所
会社設立の中心となる発起人の氏名(法人の場合は名称)と住所を記載します。発起人は最低1名以上必要です。発起人は設立時に出資を行い、株式会社の設立手続きを進める重要な役割を担います。
相対的記載事項とは?記載すると効力が発生する事項
「相対的記載事項」とは、定款に記載しなくても定款自体は有効ですが、記載しないとその事項の効力が認められないものです。会社の実態に合わせて必要な事項を記載します。
株式の譲渡制限
株式会社が発行する株式について、譲渡による取得に会社の承認を必要とする旨の定めです。中小企業の多くは「非公開会社」として、この譲渡制限を設けています。これにより、望まない第三者が株主になることを防ぐことができます。
役員の任期の伸長
取締役の任期は原則2年、監査役は4年ですが、非公開会社(株式譲渡制限会社)の場合は定款で最長10年まで伸長できます。役員変更登記の手間と費用を削減できるメリットがあります。
変態設立事項
現物出資、財産引受け、発起人の報酬、設立費用など、金銭以外の財産を出資する場合や特別な事項がある場合に記載します。これらは裁判所選任の検査役の調査が必要となる場合もあります。
その他の相対的記載事項
その他にも、株券の発行、株主名簿管理人の設置、株式の内容(種類株式)、基準日、株主総会の招集手続きに関する事項なども相対的記載事項に該当します。
任意的記載事項とは?自由に定められる事項
「任意的記載事項」とは、定款に記載してもしなくてもよい事項です。ただし、いったん定款に記載すると、変更には株主総会の特別決議が必要になります。
事業年度
会社の会計期間を定めます。「毎年4月1日から翌年3月31日まで」のように記載します。決算期は繁忙期を避けて設定することが一般的です。
株主総会の招集通知期間
株主総会の招集通知は原則として2週間前(非公開会社は1週間前)までに発送しますが、定款で短縮することができます。
役員報酬に関する事項
取締役や監査役の報酬に関する基本的な事項を定めることができます。
株式会社と合同会社の記載事項の違い
株式会社と合同会社では、定款の記載事項に違いがあります。
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
定款認証 | 必要(公証役場) | 不要 |
絶対的記載事項 | 5項目(上記参照) | 4項目(目的・商号・本店所在地・社員の氏名等) |
資本金の記載 | 絶対的記載事項 | 相対的記載事項 |
出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 |
合同会社は定款認証が不要なため、公証役場への手続きと費用(約5万円)を省略できます。ただし、定款は作成する必要があり、その内容は会社運営の基本ルールとなる点は株式会社と同じです。
定款作成から会社設立までの流れ
定款の作成から会社設立までの具体的な流れを、ステップごとに解説します。

STEP1:定款作成の事前準備
定款を作成する前に、会社の基本情報を決定しておく必要があります。
会社の基本情報を決定する
以下の項目を事前に決めておきましょう。
- 商号(会社名): 類似商号の調査も忘れずに
- 事業目的: 将来の展開も見据えて記載
- 本店所在地: 賃貸の場合は契約内容も確認
- 資本金の額: 運転資金や信用度を考慮
- 発起人: 出資者と出資額を決定
- 役員構成: 取締役、代表取締役、監査役など
- 事業年度: 繁忙期を避けた決算期を設定
公開会社か非公開会社かを選択
株式の譲渡制限を設けるかどうかを決めます。中小企業のほとんどは、株式譲渡制限を設けた「非公開会社」として設立します。非公開会社には以下のメリットがあります。
- 取締役会の設置が任意
- 取締役は1名でもOK
- 役員の任期を最長10年に延長可能
- 株主総会の招集通知期間を短縮可能
取締役会・監査役の設置を検討
非公開会社の場合、取締役会や監査役の設置は任意です。1人で会社を設立する場合は、取締役1名のみの最もシンプルな機関設計が可能です。将来的に規模を拡大する場合は、定款変更で機関を追加できます。
STEP2:定款案文の作成
基本情報が決まったら、定款の案文を作成します。
フォーマット・ひな形の活用
定款は一から作成する必要はありません。法務省や日本公証人連合会のウェブサイトで、定款のひな形が公開されています。これらを参考に、自社の実態に合わせてカスタマイズするのが効率的です。
ただし、ひな形をそのまま使うと自社に不要な規定が入っていたり、必要な規定が抜けていたりする可能性があります。不安な場合は、司法書士や行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
記載事項の具体的な書き方
定款の各条項は、法律用語を使った定型的な表現で記載します。例えば、事業目的の条項は以下のように記載します。
第2条(目的)
当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
1. 経営コンサルティング業
2. ウェブサイトの企画、制作および運営
3. 前各号に附帯関連する一切の事業
STEP3:発起人全員の署名・押印
定款案文が完成したら、発起人全員が署名または記名押印します。電子定款の場合は、電子署名を行います。
STEP4:定款の認証(株式会社のみ)
株式会社の場合、作成した定款を公証役場で認証してもらう必要があります。認証を受けることで、定款の内容が法的に有効であることが証明されます。
なお、合同会社は定款認証が不要です。作成した定款をそのまま設立登記に使用できます。
STEP5:資本金の払込
定款認証後、発起人は出資額を発起人代表の銀行口座に払い込みます。この時点では会社の口座は開設できないため、発起人個人の口座を使用します。
払込が完了したら、通帳のコピーを取って払込証明書を作成します。
STEP6:登記申請書類の作成・提出
払込が完了したら、登記申請書類を作成して法務局に提出します。必要書類は以下のとおりです。
- 設立登記申請書
- 定款(認証済み)
- 発起人の同意書
- 設立時取締役の就任承諾書
- 払込証明書
- 印鑑届出書
- 登録免許税納付用台紙
STEP7:登記完了・会社設立
法務局での審査が完了すると、登記が完了します。登記申請日が会社の設立日となります。通常、申請から1〜2週間程度で登記が完了し、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得できるようになります。
定款の認証手続き|必要書類と費用
株式会社を設立する場合、定款は公証役場で認証を受ける必要があります。認証手続きの詳細と必要書類、費用について解説します。
株式会社の定款認証とは
定款認証とは、作成した定款の内容が法律に違反していないか、記載事項に不備がないかを公証人が確認し、証明する手続きです。認証を受けた定款のみが法的に有効となり、設立登記に使用できます。
認証手続きは、本店所在地を管轄する法務局または地方法務局の所属公証人が行います。事前に公証役場へ定款案を送付しておくと、内容の確認やアドバイスを受けることができ、スムーズに手続きが進みます。
公証役場での認証手続きの流れ
定款認証の一般的な流れは以下のとおりです。
- 事前予約: 公証役場に電話またはウェブで予約
- 定款案の送付: メールまたはFAXで定款案を事前送付し、確認を依頼
- 修正対応: 公証人から指摘があれば修正
- 認証当日: 必要書類を持参して公証役場へ
- 定款認証: 公証人が定款を確認し、認証
- 定款謄本の受領: 認証済み定款(謄本)を受け取る
定款認証に必要な書類一覧
定款認証に必要な書類は以下のとおりです。
定款(3通)
認証を受ける定款は3通必要です。1通は公証役場保管用、1通は会社保管用(原本)、1通は登記申請用です。電子定款の場合はデータで提出するため、紙の定款は不要です。
発起人の印鑑証明書
発起人全員の印鑑証明書が必要です。発行から3ヶ月以内のものを用意しましょう。法人が発起人の場合は、法人の印鑑証明書と登記事項証明書が必要です。
実質的支配者となるべき者の申告書
会社の実質的支配者(議決権の25%超を保有する者など)を申告する書類です。2018年11月30日以降、定款認証時に提出が義務付けられています。
委任状(代理人が手続きする場合)
発起人本人が公証役場に行けない場合、代理人に委任することができます。その場合は委任状と代理人の本人確認書類が必要です。
定款認証にかかる費用の内訳
定款認証にかかる費用は以下のとおりです。
定款認証手数料
資本金の額に応じて異なります(2022年1月1日施行の改定料金)。
資本金の額 | 認証手数料 |
|---|---|
100万円未満 | 30,000円 |
100万円以上300万円未満 | 40,000円 |
300万円以上 | 50,000円 |
収入印紙代(紙定款の場合)
紙の定款には4万円の収入印紙を貼付する必要があります。電子定款の場合は印紙税が非課税となるため、この費用はかかりません。
謄本交付手数料
定款謄本の交付手数料として、1ページあたり250円程度かかります。通常の定款であれば2,000円程度です。
電子定款と紙定款の違い|費用を4万円節約する方法
定款には「電子定款」と「紙定款」の2種類があります。それぞれの特徴とメリット・デメリットを比較して、自分に合った方法を選びましょう。

電子定款とは?
電子定款とは、紙ではなく電子データとして作成し、電子署名を付与して認証を受ける定款のことです。PDF形式で作成し、電子証明書を使って電子署名を行います。
電子定款の場合、登記申請時には電子データのまま法務局のオンラインシステムに送信するか、CD-R等に保存して提出します。
電子定款のメリット:印紙税4万円が不要
電子定款の最大のメリットは、印紙税4万円が不要になることです。
紙の定款は「課税文書」に該当するため、4万円の収入印紙を貼付する必要があります。一方、電子定款は電子データであるため、印紙税法の課税対象外となります。これだけで4万円の節約になります。
電子定款のデメリット:必要な機材と準備
電子定款を自分で作成する場合、以下の機材や準備が必要です。
- マイナンバーカード: 電子署名に必要
- ICカードリーダー: マイナンバーカード読み取り用
- 電子証明書対応ソフト: Adobe Acrobat等のPDF署名ソフト
- 申請用ソフト: 登記・供託オンライン申請システム
これらの準備には手間と費用がかかるため、1回限りの会社設立のために揃えるのは効率的とは言えません。
紙定款との費用比較表
電子定款と紙定款の費用を比較すると、以下のようになります。
費用項目 | 紙定款 | 電子定款 |
|---|---|---|
定款認証手数料 | 50,000円(資本金300万円以上の場合) | 50,000円(資本金300万円以上の場合) |
収入印紙代 | 40,000円 | 0円 |
謄本交付手数料 | 約2,000円 | 約2,000円 |
合計 | 約92,000円 | 約52,000円 |
差額 | - | 4万円お得 |
電子定款を自分で作成する方法
自分で電子定款を作成する場合の手順は以下のとおりです。
- マイナンバーカードとICカードリーダーを用意
- 電子証明書の有効性を確認
- 定款をPDF形式で作成
- PDF署名ソフトで電子署名を付与
- 公証役場に事前送付してテレビ電話予約
- テレビ電話で認証手続き
ただし、機材の準備やソフトの操作に不慣れな場合、かなりの時間と手間がかかります。
専門家に依頼して電子定款を作成する方法
電子定款のメリットを享受しつつ、機材準備の手間を省きたい場合は、専門家に依頼するのがおすすめです。司法書士や行政書士、税理士事務所の多くは電子定款に対応しており、依頼すれば4万円の印紙代を節約できます。
専門家への依頼費用を考慮しても、電子定款を選択することで総額を抑えられるケースが多くあります。また、定款の内容チェックや記載漏れの防止など、専門家ならではのサポートも受けられます。
定款作成時の注意点とチェックポイント
定款作成時に注意すべきポイントを解説します。後から変更するには手間と費用がかかるため、最初の段階でしっかり検討しておきましょう。
事業目的の書き方の注意点
事業目的は登記事項であり、会社がどのような事業を行うかを対外的に示す重要な項目です。
将来の事業展開も考慮する
現在行う予定の事業だけでなく、将来的に展開する可能性のある事業も含めておくと、定款変更の手間を省けます。ただし、あまりにも広範囲に記載すると、事業内容が不明確になり、取引先や金融機関からの信用に影響する可能性があります。
適法性・明確性・営利性を満たす
事業目的は以下の3つの要件を満たす必要があります。
- 適法性: 法律に違反しない内容であること
- 明確性: 第三者が読んで事業内容を理解できること
- 営利性: 営利を目的とした事業であること
許認可事業の記載方法
飲食業、建設業、不動産業など、許認可が必要な事業を行う場合は、定款の事業目的に該当する文言を記載する必要があります。許認可の要件を満たす記載になっているか、事前に確認しておきましょう。
資本金額の決定で注意すべきこと
資本金額は会社の信用力に影響するため、慎重に決定する必要があります。
1円起業のメリットとデメリット
会社法上、資本金1円でも会社設立は可能です。しかし、資本金が少なすぎると以下のデメリットがあります。
- 取引先や金融機関からの信用が低い
- 融資を受けにくい
- 運転資金が不足しやすい
一般的には、3ヶ月〜6ヶ月分の運転資金を目安に資本金を設定することが推奨されています。
資本金額が税金に与える影響
資本金額は税金にも影響します。主な影響は以下のとおりです。
- 消費税: 資本金1,000万円未満で設立すると、設立後2年間は消費税の免税事業者になれる可能性がある
- 法人住民税(均等割): 資本金の額に応じて税額が変動
- 外形標準課税: 資本金1億円超で適用対象
特に消費税の免税メリットを考慮すると、資本金1,000万円未満で設立するケースが多くなっています。
事業年度の設定ポイント
事業年度(決算期)は定款で定めることができます。設定のポイントは以下のとおりです。
- 繁忙期を避ける: 決算業務が集中しないよう、繁忙期を避けて設定
- 設立月からの期間: 設立後最初の事業年度は、できるだけ長くとると節税メリットがある場合も
- 資金繰りへの配慮: 決算後2ヶ月以内に法人税等の納付が必要なため、資金繰りを考慮
公告方法の選び方
株式会社は、決算公告などを行う義務があります。公告方法は以下の3種類から選択できます。
官報公告
国が発行する官報に掲載する方法です。最も一般的で、費用は1回あたり数万円程度です。
電子公告
会社のホームページ等に掲載する方法です。費用を抑えられますが、調査機関による調査が必要な場合があります。
新聞公告
日刊新聞紙に掲載する方法です。費用が高額になるため、あまり選択されません。
多くの中小企業は「官報公告」を選択しています。
発起設立と募集設立の違い
株式会社の設立方法には「発起設立」と「募集設立」の2種類があります。
- 発起設立: 発起人のみが株式を引き受ける方法。手続きがシンプルで、ほとんどの会社がこの方法を選択
- 募集設立: 発起人以外からも株式の引受人を募集する方法。手続きが複雑で、検査役の調査が必要になる場合も
一般的な会社設立では発起設立を選択すれば問題ありません。
誤記や曖昧な表現を避けるコツ
定款の認証時に修正を求められる主な原因は、誤記や曖昧な表現です。以下の点に注意しましょう。
- 商号の「株式会社」の位置が正確か確認
- 本店所在地の住所表記を統一
- 日付や数字の表記ゆれをなくす
- 条項番号の連続性を確認
- 専門家にチェックを依頼する
定款変更の方法と手続き
会社設立後、事業内容の変更や本店移転などにより定款を変更する必要が生じることがあります。定款変更の手続きについて解説します。
定款変更が必要なケース
定款変更が必要になる主なケースは以下のとおりです。
- 商号(会社名)の変更
- 事業目的の追加・変更
- 本店所在地の変更
- 資本金の増減
- 発行可能株式総数の変更
- 役員構成の変更(取締役会の設置・廃止など)
- 株式譲渡制限の変更
定款変更の手続きの流れ
定款変更は、原則として株主総会の特別決議が必要です。
株主総会の特別決議
特別決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の賛成が必要です。1人株主1人取締役の会社であれば、自分で決議することになります。
議事録の作成
株主総会で定款変更を決議した後、議事録を作成します。議事録には、決議事項、出席株主、議決結果などを記載します。
変更登記の申請(登記事項を変更した場合)
変更した事項が登記事項に該当する場合(商号、目的、本店所在地など)は、変更から2週間以内に法務局へ変更登記を申請する必要があります。
定款変更にかかる費用
定款変更にかかる主な費用は以下のとおりです。
費用項目 | 金額 |
|---|---|
登録免許税(商号・目的変更) | 30,000円 |
登録免許税(本店移転・同一管轄内) | 30,000円 |
登録免許税(本店移転・他管轄) | 60,000円 |
司法書士報酬(依頼する場合) | 20,000円〜50,000円程度 |
頻繁な定款変更は費用がかさむため、設立時に将来を見据えた定款を作成することが重要です。
定款のテンプレート・ひな形・記載例
定款作成の参考になるテンプレートや記載例を紹介します。
日本公証人連合会の定款記載例
日本公証人連合会のウェブサイトでは、株式会社の定款記載例が公開されています。公証人が認証する定款の基本形として参考になります。
法務省の株式会社定款見本
法務省のウェブサイトにも、株式会社設立の際の定款見本が掲載されています。登記申請を受け付ける法務局が提供する見本のため、信頼性が高いです。
形態別のテンプレート(株式会社・合同会社)
会社の形態によって定款の内容は異なります。
- 株式会社(取締役会非設置): 最もシンプルな形態。1人会社に最適
- 株式会社(取締役会設置): 取締役3名以上、監査役1名以上が必要
- 合同会社: 社員の出資と責任、業務執行などを定める
業種別の定款テンプレート例
業種によって、事業目的の書き方や許認可に関連する条項が異なります。
- IT・ウェブ関連: ソフトウェア開発、ウェブサイト制作、ITコンサルティングなど
- 飲食業: 飲食店の経営、食品の製造販売など(食品衛生法の許可が必要)
- 不動産業: 不動産の売買・賃貸・仲介など(宅建業の免許が必要)
- 建設業: 建築工事業、土木工事業など(建設業許可が必要)
- 介護・福祉: 介護サービス事業、障害福祉サービスなど
定款作成を専門家に依頼するメリットと費用
定款作成を自分で行うか、専門家に依頼するか迷っている方も多いでしょう。それぞれのメリットと費用を比較して、最適な方法を選びましょう。

自分で作成 vs 専門家に依頼の比較
項目 | 自分で作成(紙定款) | 自分で作成(電子定款) | 専門家に依頼 |
|---|---|---|---|
定款作成の手間 | 大 | 大 | 小 |
認証手続きの手間 | 中 | 大(機材準備が必要) | 小 |
印紙税 | 40,000円 | 0円 | 0円(電子定款対応の場合) |
専門家報酬 | 0円 | 0円 | 30,000円〜100,000円程度 |
ミスのリスク | 高 | 高 | 低 |
設立後のサポート | なし | なし | あり(事務所による) |
司法書士に依頼するメリット
司法書士は登記の専門家であり、定款作成から登記申請までをワンストップで依頼できます。
- 定款の法的チェックを受けられる
- 電子定款で4万円節約できる
- 登記申請の代理が可能
- 認証手続きの同行・代行が可能
- 費用相場:50,000円〜100,000円程度
行政書士に依頼するメリット
行政書士は許認可申請の専門家であり、許認可が必要な事業を行う場合に適しています。
- 定款作成・認証手続きを代行
- 電子定款で4万円節約できる
- 許認可申請もあわせて依頼できる
- 費用相場:30,000円〜80,000円程度
ただし、行政書士は登記申請の代理ができないため、登記は自分で行うか司法書士に依頼する必要があります。
税理士に依頼して会社設立をトータルサポート
税理士に会社設立を依頼すると、設立後の税務手続きまで見据えたトータルサポートを受けられます。
- 資本金額や事業年度など税務面を考慮したアドバイス
- 設立後の税務届出(法人設立届、青色申告承認申請等)を一括対応
- 顧問契約で継続的な経営サポート
- 創業融資や補助金申請のサポート
特に、設立後すぐに顧問税理士をつける予定がある場合は、最初から税理士事務所に相談するのが効率的です。
会社設立代行サービスの活用
最近では、オンラインで完結する会社設立代行サービスも増えています。費用を抑えたい場合や、スピーディーに設立したい場合に適しています。ただし、個別の相談には対応していないサービスも多いため、不安がある場合は専門家に直接相談することをおすすめします。
ALBA税理士法人の会社設立サポート内容
ALBA税理士法人では、会社設立をトータルでサポートしています。
電子定款作成で4万円節約
電子定款に対応しているため、印紙税4万円を節約できます。定款の内容についても、税務の観点からアドバイスいたします。
設立後の税務届出まで一括対応
会社設立後に必要な税務届出(法人設立届出書、青色申告承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書など)も一括で対応します。届出期限を逃すと税制上の優遇を受けられなくなる場合もあるため、専門家に任せると安心です。
創業融資・補助金サポート
日本政策金融公庫の創業融資や各種補助金・助成金の申請サポートも行っています。資金調達は事業成功の鍵となるため、設立時から相談しておくことをおすすめします。
顧問契約で安心の経営サポート
設立後も顧問契約を通じて、月次の経理サポート、決算・申告業務、税務相談など、継続的な経営サポートを提供しています。
会社設立後の定款管理と活用
会社設立後も定款は重要な書類として活用されます。適切な管理と活用方法について解説します。
定款の保管場所と保管期限
定款の原本は、本店に備え置く義務があります(会社法第31条)。保管期限に定めはなく、会社が存続する限り永久に保管する必要があります。
原本は紛失しないよう金庫等で保管し、必要に応じてコピーを作成して使用するようにしましょう。
定款の原本証明が必要な場面
金融機関や行政機関に定款を提出する際、「原本証明」を求められることがあります。原本証明とは、コピーが原本と相違ないことを証明するもので、代表取締役が証明文を記載して押印します。
原本証明の記載例:
この写しは、原本と相違ないことを証明します。
令和○年○月○日
○○株式会社
代表取締役 ○○○○ 印
金融機関や行政機関への提出方法
定款を提出する際は、以下の点に注意しましょう。
- 提出先の指定する形式(原本証明の要否など)を確認
- 最新の定款であることを確認(変更がある場合は変更後の定款)
- コピーを取る際は全ページを漏れなくコピー
- 原本証明が必要な場合は、代表者印(実印)で押印
【FAQ】定款に関するよくある質問
定款に関してよく寄せられる質問にお答えします。
定款は1人でも作成できますか?
はい、1人でも定款を作成できます。発起人が1名でも株式会社は設立でき、取締役も1名で構いません。ただし、法律用語や記載方法には専門知識が必要なため、不安な場合は専門家に相談することをおすすめします。
定款の作成費用はいくらかかりますか?
定款作成にかかる主な費用は以下のとおりです。
- 定款認証手数料: 30,000円〜50,000円(資本金額による)
- 収入印紙代: 40,000円(紙定款の場合。電子定款は不要)
- 謄本交付手数料: 約2,000円
- 専門家報酬(依頼する場合): 30,000円〜100,000円程度
合同会社の定款も認証が必要ですか?
いいえ、合同会社の定款は認証不要です。株式会社と異なり、公証役場での認証手続きを省略できるため、設立費用を抑えられます。作成した定款をそのまま登記申請に使用できます。
定款に記載していない事業はできませんか?
定款に記載していない事業を行うこと自体は法律上禁止されていませんが、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 許認可が必要な事業の場合、許可を受けられない
- 取引先から事業目的との不一致を指摘される
- 融資審査に影響する場合がある
新たな事業を本格的に行う場合は、定款変更と登記変更を行うことをおすすめします。
定款を紛失した場合はどうすればいいですか?
定款を紛失した場合は、以下の方法で再取得できます。
- 株式会社の場合: 認証を受けた公証役場で定款の謄本を請求(保存期間は20年)
- 合同会社の場合: 認証を受けていないため、公証役場では取得不可。自社で保管しているデータや控えから復元
いずれにせよ、定款は重要書類のため、原本とバックアップを適切に保管しておきましょう。
定款の原本証明とは何ですか?
定款の原本証明とは、定款のコピーが原本と相違ないことを代表取締役が証明することです。金融機関での口座開設や許認可申請、融資申請などで求められることがあります。
コピーの余白に「この写しは、原本と相違ないことを証明します」と記載し、日付、会社名、代表取締役名を記入して代表者印(実印)を押印します。
まとめ:定款は会社設立の第一歩|専門家のサポートで確実に
定款は会社設立に欠かせない重要書類であり、会社運営の基本ルールとなるものです。この記事で解説したポイントを整理すると、以下のようになります。
- 定款とは: 会社の目的、組織、運営に関する基本ルールを定めた「会社の憲法」
- 記載事項: 絶対的記載事項(必須5項目)、相対的記載事項、任意的記載事項の3種類
- 認証手続き: 株式会社は公証役場での認証が必要(合同会社は不要)
- 電子定款のメリット: 印紙税4万円が不要で費用削減に
- 作成時の注意点: 事業目的、資本金、事業年度など将来を見据えた設計が重要
定款作成は専門知識が必要であり、記載ミスがあると認証を受けられない場合もあります。設立後の税務手続きや資金調達まで見据えて、専門家のサポートを受けることをおすすめします。
ALBA税理士法人では、電子定款による費用削減から設立後の税務届出、創業融資サポートまで、会社設立をトータルでサポートしています。会社設立をお考えの方は、お気軽にご相談ください。




